ある日壮年男性の山田様(仮称)がご自分のお父様の件で相談があると事務所にやってきました。山田様は商社マンで海外を飛び回る生活をされていますが、独身でお父様と2人暮らしでした。「昨年の秋に転倒し、膝と腰を悪くして入院した父の病状が思わしくなく、入院が長引いているうちに、話がかみ合わなくなりました。最近では自分のこともよく分からなくなっているようなのです。医師には認知症ですと診断されてしまいました。どうしたらいいのでしょう?」と肩をがっくりと落して話す山田様をエンパワーメントしたいと心から思いました。
私はお父様の要介護認定を受けるため、在宅介護支援センター(地域包括センター)をご紹介し、介護保険制度を使う事をお勧めしました。そしてお父様の権利擁護の為の成年後見制度をご説明いたしました。山田様は、本来であれば自分がお父様の後見人になりたいのだが、仕事優先の事情がある為、社会福祉士である私に後見人になって欲しいと言われました。私は山田様に家庭裁判所に対して行う法定後見の申し立て方法をご説明し、親族申立てをして頂くように話しました。
後日東京家庭裁判所の審判がおり、私が山田様のお父様の後見人に就任しました。それ以来、お父様の財産管理と身上監護は私が行っています。山田様は安心して海外を飛び回れるようになり、たまにふらっと事務所にいらしては、「オヤジがお世話になっています。」と言って海外のみやげ話をして下さいます。私はその話をお父様にするのですが、認知症と言っても話がわかる時もあり、ふと心が通う瞬間があるのです。そんな時に私はこの仕事の醍醐味をひとり噛みしめているのです。
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