ある午後の昼下がり、20代前半の谷口様(仮称)という若い女性の方が小さなお子様を連れて相談に来られました。谷口様は開口一番「私夫から暴力を受けているのです。この子の為と思って耐えてきたけど、もう我慢できません。今すぐ離婚したいのです。役所に行って離婚届を出せは離婚できるのですか?」少々興奮気味に話す谷口様でしたが、お話しを伺っているうちに冷静になられ、少しの沈黙の後に話を続けられました。「私本当はどうしたらいいのかわからないのです。この子はまだ小さいし、仕事もパートをしているので離婚しても生活してゆけるのかわからないし、かといって今の夫とはもう共に生活してゆく事は出来ないと思っているので途方に暮れているのです。」
概ねの状況を理解した私は、谷口様にアドバイス致しました。「お話しはわかりましたが、今一番大事な事はお子様の今後の生活の事ではないでしょうか。離婚は原則婚姻を継続し難い重大な事由があればできるとされています。ご主人の暴力もその事由のひとつに該当します。これ迄は家庭内暴力については、警察も民事不介入の原則から問題にされないことが多くありましたが、平成14年4月にDV法(ドメスティックバイオレンス法)が施行され、警察に保護を求めることができるようになりました。配偶者の暴力がひどい時には、配偶者暴力相談支援センターや行政に援助や相談をすることもできます。離婚手続きをする前にできる事があります。その上で離婚という選択肢しかなかったとしても、簡単に離婚届けを出してはだめです。離婚の原因がどちらにあるのかを明確にして、合意の上離婚協議書を作成して下さい。養育費・慰謝料等の事も配慮して公正証書の方が良いでしょう。この子の為にも今できる事をしましょう。」谷口様は涙を拭いながらお子様を抱きしめるのでした。
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