知人の山田様(仮称)から、「大変なことになった。急ぎ相談したい。」と連絡があったのは日曜日の19時頃の事でした。たまたま事務所にいた私はすぐさま山田様の到着を待って、相談をお受けしました。「実は親父が昨年末に亡くなって財産は今私が家族と住んでいる親父の土地建物だけで、現金預貯金は葬儀等で殆んど使ってしまった。妹と弟がいて今までとても仲良くしてきたのだけど、相続となったら2人から財産を3等分して欲しいと申し入れがあったんだ。その要望には応えたいが、かといって現金・預貯金等を相続していないので財産分与にはあの家を売るしかなくなってしまう。なんとか助けてほしい。」
普段明るい山田様が見せる落胆振りには、心中を推し量るものがありました。山田様が如何にお父様の老後を支えてきたかを知っているだけに、力になりたいと強く感じました。私は山田様の気持ちを受け止め、幾つかの提案をしました。基本的には山田様が現在お住まいの不動産を売却せずに円満に解決し得る方法です。それは生活があっての相続手続きだと考えるからです。しかし相続は争族であるとも言われます。もし法定相続人間で合意に至らなければ、家庭裁判所での調停・和解・裁判にまで発展しかねません。私はいざという時に備えて、山田様の合意を得た上で、サムライファームという我々で創った士業団体の弁護士にも支援してもらうつもりでおりました。
それから山田様とご兄弟の打合せが何度か重ねられました。「ようやく兄弟達もわかってくれました。私の取り越し苦労もあったようです。」と弾んだ調子で山田様から電話を頂いたのは、約2週間後の事でした。私も一時は最悪のシナリオが頭をかすめただけに、ほっと安堵致しました。その後山田家相続手続きは滞りなく行われ、ご兄弟との関係も今迄通りです。今回は山田様の柔軟な対応と人を信じる姿勢に、私の方が大いに学ばせて頂いたと実感した出来事でした。
ツイートSTART
ON STAGE
2014 © あんしんステージ法務・福祉事務所
All rights reserved