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あんしんお悩み解決帳

あんしんステージ法務・福祉事務所近くのビルオーナーの方から相談があったのは、私が事務所を出ようとしていた夜7時過ぎの事でした。「テナントが出て行かなくて困っているのだけど相談に乗って欲しい。」松本様(仮称)は高齢の女性ですが、品川に3つのビルを持ち、賃貸業で生計をたてられてこられました。そのうちの山手線駅前ビルの1階路面店をある音楽関係業のA氏に賃貸していたそうですが、最近賃料が滞りがちになっていたそうです。不動産仲介会社を入れず直接賃貸借契約を行ってきた松本様ですが、賃借人A氏とは当初の契約時だけで、ほとんど顔を合わせた事がなかったそうです。最近深夜迄営業しているA氏に対して、ご近所から騒音のクレームも入るようになってきてご相談に来られたようです。
私はその不動産賃貸借契約書を拝見しましたが、あくまで一般的な内容となっており、解約に関する規定及び騒音等迷惑行為に関しての規定が明確ではありませんでした。また、A氏は第三者への転貸に対する疑義もありました。幸い松本様とA氏との間は紛争状態にはなっておらず、話し合いで解決できる可能性があると考えた私は、松本様にこちら側の意思を明確に伝える為にも内容証明郵便の送達をお勧めしました。松本様はご納得され、その日のうちに内容証明郵便を作成し、品川中央郵便局より投函致しました。数日後A氏より「話がしたい。状況をご説明したい。」と松本様に連絡が入ったようで、再度あんしんステージにご相談に来られました。私は「このタイミングを逃さず合意書を作成致しましょう。」と松本様がご納得される合意内容について話し合い、原案を作成致しました。数日後「ありがとう。A氏と合意に至って、今月中に退去してくれる事になったよ。余計な出費も省けました。助かったぁ。」そう笑顔でおっしゃる松本様でした。

ある午後の昼下がり、20代前半の谷口様(仮称)という若い女性の方が小さなお子様を連れて相談に来られました。谷口様は開口一番「私夫から暴力を受けているのです。この子の為と思って耐えてきたけど、もう我慢できません。今すぐ離婚したいのです。役所に行って離婚届を出せは離婚できるのですか?」少々興奮気味に話す谷口様でしたが、お話しを伺っているうちに冷静になられ、少しの沈黙の後に話を続けられました。「私本当はどうしたらいいのかわからないのです。この子はまだ小さいし、仕事もパートをしているので離婚しても生活してゆけるのかわからないし、かといって今の夫とはもう共に生活してゆく事は出来ないと思っているので途方に暮れているのです。」

概ねの状況を理解した私は、谷口様にアドバイス致しました。「お話しはわかりましたが、今一番大事な事はお子様の今後の生活の事ではないでしょうか。離婚は原則婚姻を継続し難い重大な事由があればできるとされています。ご主人の暴力もその事由のひとつに該当します。これ迄は家庭内暴力については、警察も民事不介入の原則から問題にされないことが多くありましたが、平成14年4月にDV法(ドメスティックバイオレンス法)が施行され、警察に保護を求めることができるようになりました。配偶者の暴力がひどい時には、配偶者暴力相談支援センターや行政に援助や相談をすることもできます。離婚手続きをする前にできる事があります。その上で離婚という選択肢しかなかったとしても、簡単に離婚届けを出してはだめです。離婚の原因がどちらにあるのかを明確にして、合意の上離婚協議書を作成して下さい。養育費・慰謝料等の事も配慮して公正証書の方が良いでしょう。この子の為にも今できる事をしましょう。」谷口様は涙を拭いながらお子様を抱きしめるのでした。

知り合いから困っている人がいるからどうしても相談に乗って欲しいと言われてお会いしたのが山田様(仮称)という壮年の男性でした。山田様は東北から東京に出てこられ、20年程経つそうですが、ご親族はお父様だけであり、ずっと疎遠になっていたそうです。先日そのお父様が亡くなられ、葬儀は親族だけの密葬をされたそうです。財産的なものも特になく、相続手続きは現在まで特に何もされていなかったようでした。

ある日そんな山田様に金融会社から書面が郵送され、お父様の債務を返済して欲しいと書いてあったそうです。 「いや寝耳に水というか、親父が亡くなって事実関係もわからなかったから、自分には関係ないと思っていたのだけれど、どうもそうではないらしい。相続人は自分だけなので、返済しなければならないのかと思って覚悟はしているのです。」そう話す山田さんに私はアドバイスしました。「相続には積極財産と言うプラスの資産と消極財産と言うマイナスの資産があります。ですから借金も消極財産と言う財産になるのです。お話しによるとお父様が亡くなられて1ヶ月半ですよね。まずはその債務が事実かどうかをご確認下さい。その上で事実であるなら、家庭裁判所に相続放棄の手続きをされたら如何でしょうか?相続放棄は民法により自己のために相続の開始があったことを知ったときから原則3か月以内なら手続きする事ができるのです。ただし、一度手続きをするとはじめから相続人でなかった事になるので、たとえ後々積極財産が出てきても相続はできません。総合的に考えられてご自身でご判断頂く事がよいのではないでしょうか。」その話を聞いて、自分がお父様の借金を払ってゆくとばかり思っていた山田様の表情がぱっと明るくなり、「思い切って相談に来てよかった。ありがとうございました。」といって軽い足取りで帰られたのでした。

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